「複業」としての中小企業診断士

働き方改革やコロナ禍の影響から、複業/副業という働き方が浸透してきました。診断士も例外ではなく、診断士以外にもお仕事を持ちながら活動されている方が増えたように感じます。今回の記事では、中小企業診断士としての複業/副業的な働き方に加えて、専業となった時に見えてくる「さらなる魅力」について記載しています。

【2020年4月24日 投稿】
【2025年7月17日 更新】

こんにちは、迅技術経営の中小企業診断士・小川です。

弊社(迅技術経営)は、「今は資格も経験もないが、将来的に資格を取得して地域やそれを支える中小企業などのために貢献したい」という思いを持つ方と一緒に働きたいと考えています。

弊社の士業育成に対する考え方や独自の制度である士業育成システム®、弊社の特徴についてはこちらの採用ページ知的資産経営報告書に記載されておりますので、そちらをご覧ください。

 

先日、7年ぶりくらいに石川県中小企業診断士会の総会に出席してまいりました。
今年(2025年)は弊社からも新たに登録しましたが、ここ数年で石川県の会員数は大きく増加し、非常に盛況でした。
特に、30代前後のいわゆる「若手」層が本当に増えたなぁと感じます。私が入会した当時(2013年)は会員数は今の2/3ほどで、私(当時25歳になったばかり)がダントツに若く、その上は30代が数人だったと記憶しています。

能登での災害もあり、中小企業の方々の支援ニーズが高まる中で、支援者側の人口が増えていることにはとても心強く感じます。

 

その総会でいろいろな方とお話をさせていただいたのですが、診断士になって年数が若い方を中心として診断士を専業と捉えず「複業」の形態をとっている方が複数名いらっしゃいました。
2020年にも同様のタイトルで投稿していたのですが、改めて「『複業』としての中小企業診断士」についてお話していきたいと思います。

このブログでは私(小川)だけでなく、過去に西井も似たようなテーマで投稿しております。ご興味のある方はこちらもご覧ください。
働きながら週末に中小企業診断士の活動をしたい

 

1.複業(副業)に関する動向

働き方改革と2020年以降のコロナ禍の影響から、複業(副業)が新しい働き方の1つとして定着してきました。最近では2024年11月にいわゆる「フリーランス新法」が制定されただけでなく、スキマ時間を活用して別の仕事に従事するなど、働き手だけでなく企業側においても働き方に対する柔軟さが大きく向上してきました。
また、プロボノなどのように金銭的な報酬を目的とせず、興味のあることや自分の能力が活かせることに対して積極的に協力する、という考え方もこの10数年で普及・定着してきました。

株式会社Another works「複業/副業の実態調査」によると、20代~40代のビジネスパーソン男女629名の中で「複業/副業の経験あり」と回答した人は46.7%であり、2023年(33.6%)と比較すると大幅に増加しています。

また、複業/副業の目的としては、「自由に使えるお金を増やすため」や「収入源を分散させ、リスクヘッジするため」といった収入面に関することが多いのですが、スキルアップや挑戦といったキャリアアップを目的としている方も多いようです。

 

2.中小企業診断士資格保有者の職業

中小企業診断士の資格を保有している方の職業について見てみたいと思います。
一般社団法人中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査(2021年5月)」によると、中小企業診断士としてコンサルティング等の業務を行っている(いわゆる『プロコン』の方)は全体の48.3%であり、半分以上の方が資格を持ちながら中小企業診断士以外の業務に携わっていらっしゃいます。

表 中小企業診断士の職業
(一般社団法人中小企業診断協会「中小企業診断士活動状況アンケート調査(2021年5月)」より引用)

 

最新のデータとはいっても2021年のものでコロナ禍という大きな転換点がありましたので、今現在でみると状況は変わっているかもしれません。
ちなみに、2016年に実施した調査では、プロコンの方の割合は47.0%でしたので、プロコンの方の割合が若干増加したようです。

 

3.複業/副業としての中小企業診断士の活動

次に、中小企業診断士の資格を持ちつつ、診断士としての活動をメインとせずそれ以外の活動もしている方の活動方法について考えたいと思います。

3-1.コンサルティング業務

複業/副業という中でコンサルティング業務を行う場合、商店街支援や市場調査などが多いようです。

中小企業診断士の資格では、「5年間で30ポイント以上」の実務従事ポイントを確保しなければ資格を更新することができません。

このため、実務従事ポイントの確保とセットで企業内診断士の方のコンサル業務を支援している企業もあります。
(参考:株式会社大塚商会様

多くの場合、個人単位ではなくチーム単位でプロジェクトに取り組む形態を採用しているところが多いようです。

 

3-2.補助金申請支援

コロナ禍を経て大きく増えたのが、この補助金獲得を支援しようという動きだと思います。
事業再構築補助金など、中小企業の設備投資や前向きなチャレンジを支援することを目的とした補助制度が増えたこと、またオンライン環境の整備により場所に関係なく支援できるようになったことなどを背景に、東京の方が石川県の企業を支援するなどといったケースが本当に多くなりました。

資格を取得して5年前後の方から話を伺うと、完全に独立しているわけではないが開業届も提出して年に数件補助金の申請支援をしているという声が本当に多いです。

3-3.セミナー講師

それまでの経験を活かしたセミナーを開催するケースもあります。このケースでは、地域の商工会議所等の支援機関に提案して開催するというケースもあるようなので、支援機関の方々との信頼関係を構築するということも期待できます。

例えば最近ではIT分野のお仕事に従事されていた方が診断士の資格を取得するケースも多く、そうした方の場合は「DXの進め方」や「業務効率化」といったテーマでご提案する、などです。
中小企業が抱える課題に沿ってお話することになり、参加される方々もある程度の熱量を持った方々になりますので、その先の具体的なお仕事につながる可能性もある取り組みといえます。

 

3-4.調査・研究

先に記載したコンサルティング業務と重複する部分もありますが、週末などを利用して調査・研究事業を行うケースです。

中小企業診断協会では、「経営戦略工学研究センター」において各種の調査研究事業に携わっていただく診断士の方を募集しておりますので、こちらに応募いただくことも一つでしょう。

 

3-5.執筆

最後に論文や書籍の執筆活動です。
こちらも、他の診断士の方々とのプロジェクトとしてそれまでの経歴を活かす形で参加されるケースが多いようです。

また、中小企業診断士試験についてや経営に関することをテーマとしたブログ、YouTubeチャンネルの運営を副業とするパターンもあるようです。

 

4.複業/副業としての中小企業診断士の課題

ここまで、複業/副業についての動きと複業/副業としての中小企業診断士の道について記載してきました。

このような活動はご自身のキャリアを活用する方法としてあるべきだと思いますが、新卒から中小企業診断士として活動してきた身として、「中小企業診断士という仕事の魅力」は複業/副業としての活動だけでは見えづらいものがあると感じています。

それは「経営者の方々との切磋琢磨」です。

通常我々診断士が直接お話をする方は経営者であることが多いです。
診断士として活動してひしひしと感じるのは、

「事業に対して人生をかけて向き合っている」

という点です。

経営者の方々は自身が最終責任者であり、多くの意思決定や決断に日々迫られています。
当然、その中で成功もあれば失敗もあり、下手をすると自身や従業員に非常に大きな影響を与えることになります。

このため、多くの経営者の方々は(他人からの支援を受ける時は特に)人をよく観ている方が多いように感じます。

もちろん複業/副業として活動される方が真剣ではない、というつもりはまったくありませんが、「収入を増やす」という目的で診断士の活動を行う方と、思いを持って中小企業診断士として生きている方とでは、同じ経営者さんと話していても対応が変わってくることもあるでしょう。
(もちろん独立しているからOKというわけではなく、支援に対して何を目的として、どれほど真剣に向き合っているか、という点が重要です)

私自身、中小企業診断士として活動してまだ10年程度ではありますが、この資格の魅力の一つは経営者の方々の思いに触れ、理解者として共に歩むことと考えているため、複業/副業という環境では時間的にも立場的にもそのような部分をなかなか味わいにくいのではないか、と考えています。

 

5.さいごに

長々と書いてまいりましたが、では複業/副業ではそのような経験ができないかというと、そうとも思っておらず、経営者の方の思いに触れる機会は作れるのではないかと考えています。

「独立は不安だからとりあえず複業/副業で活動してみて、そこから決めよう」
と考えている方も多いかと思いますが、ぜひ尊敬できる経営者の方とのつながりを持ち、どのような考え・思いで携わっているか伺ってみるとよいのではないでしょうか。

学生の方、すでに社会で活躍されている方、様々なハードルを抱える方、どのような属性の方であっても、「地域や地方、そこで活動されている方々のために、自身や資格の力を活用したい」という方を募集しています。
石川県という地方の、しかも10人にも満たない会社に対してアクションを起こすことは勇気がいると思いますが、「小さな一歩」を踏み出してみませんか?
オンラインでも対面でも、弊社の士業と話すこともできますので、ぜひお問い合わせはこちらから、お待ちしております。

興味を持っていただいた方は、迅技術経営の採用ページもご覧ください。

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